発達障害のあるお子さんにルールを守らせるために知っておくべき2パターン
この記事では、発達障害のあるお子さんにルールを守らせるために知っておくべきパターンなどについて解説していきます。「なかなか子どもがルールを守らない」と行き詰まっている場合、状況を整理してみると事態が好転するかもしれません。
本記事では発達障害のあるお子さんにルールを守らせるための大事な2パターン、それぞれのパターンにおける具体的な対応、最終的に目指したいことなどに関してお伝えしていきますね。
ルールを守らせるためのポイントになる2パターン
発達障害のあるお子さんに対してルールを教えたり、問題行動を減らしたりする際のポイントは色々ありますが、今回は「ルールを知っていたかどうか」について考えてみましょう。
パターン1:そもそもルールを知らなかった・理解していなかった
こちらはそもそも「これをやってはいけない」「しなければならない」などのルールを知らなかった・理解していなかったというパターンです。このパターンであるにもかかわらずお子さんを叱るのは理不尽である可能性が高いので特に注意が必要です。
パターン2:ルールを知っていて・理解していてもやってしまった
発達障害であってもなくても、ルールを知っていて・理解していたにもかかわらず問題行動をしてしまう場合もあります。
パターン1に比べると問題が根深いケースが多いですし、保護者の方も叱りたくなるかもしれません。
ただ、別の見方をすれば「ルールを理解してはいる」ため、工夫すれば比較的すぐにルールを守れるようになるかもしれません。ですが感情的に怒ればそれも難しくなるので注意してくださいね。
まずはルールを理解していたのかどうか確認する
最初に行うべきは、ルールを理解しているかの見極めです。お子さんに対して「ここではどうするんだっけ?」と問いかけ、スムーズに正しい行動を口にできれば「理解している」と判断できます。
ただし、「言葉としては丸暗記して唱えられるが、意味は理解していない」ケースに注意が必要です。必死と思い出しながら遅く答えたり、意味を理解せず機械的に返答している場合は、実質的に「理解していない」と判断して教え直す必要があります。
ルールを知らない・理解していない場合の教え方ポイント3つ
それではお子さんがルールを知らない・理解していない場合における教え方のポイントをいくつか紹介していきます。発達障害の傾向を踏まえて教えることも大事です。
1:「常識」を感じ取りにくいため、必ずルールを先に教える
発達障害のあるお子さんは「空気を読むこと」「暗黙の了解を理解すること」などが苦手な傾向にあるため、大人の「言わなくてもわかるはず」「周囲を見れば理解できる」「これは当たり前のこと」などの感覚は通用しない可能性が高いです。
基本的に「人間の本能的に習得していること」以外のルールは、できる限り「先」に伝えましょう。また、全部先回りはできないので、何か問題があった際は必ず「このルールは伝えていただろうか」という視点を持ちましょう。
一例として「食事中に机の上に乗ろうとする」のは大人からするとあり得ないことですが、それも「やってはいけない」と理解していないかもしれません。そのため「机の上に乗っちゃダメだよ」「汚れるからね」などと丁寧に教えることが大事です。
2:理解していることを何度も教えない
丁寧に教えることは大事ですが、理解していることを何度も教えないのも重要です。例えば大人が「食事を終えたら料金を払ってください」と繰り返し言われたらイライラすると思いますが、発達障害のあるお子さんでも同じことが起きます。
これを避けるためには、お子さんの現状をしっかり見つめて「今、どこまでできるか」を可能な限り正確に把握する必要があります。また、以下のようなポイントもあります。
- 同じ内容でもある程度期間があいたら再び伝えてもいいかもしれません
- 同じ内容でも言い回しを変えると印象も変わります(例→『座って食べよう』と「机に乗っちゃだめ」)
- 「走るな!」と「危ないから走っちゃだめ、お母さん心配よ」では印象が変わる
3:視覚的に教えるとわかりやすい
特に発達障害のあるお子さんの場合、視覚的に教えると理解しやすい傾向にあります。例えば「順番に並ぶんだよ」と口で説明するだけでなく、「順番で並んでいるイラスト」を見せながら「こうやって並ぶんだよ」と説明するなどですね。
イラスト、図、写真などを用意するのは多少面倒かもしれませんが、それによってスムーズに理解するのであれば結果的に労力が減ります。
ルールを知って・理解していた場合での教え方ポイント3つ
続いてはお子さんがルールを知っていて・理解していた場合における教え方のポイントをいくつか紹介していきます。怒りたくなるシチュエーションかもしれませんが、冷静かつ論理的に対応するのが大事です。
1:「我慢強くないこと」「集中力がないこと」などを原因とは考えない方がいい
例えば「宿題中に大騒ぎする」としても、「我慢強くない」「集中力が低い」など、目に見えないことだけを原因とは思わない方がいいです。
なぜなら本当にそれらが原因かわかりませんし、原因だったとして「我慢しなさい」「集中しなさい」と言っても解決しない可能性が高いからです。大人でも「集中しましょう」と言われて、それだけで集中力を上げられる人はなかなかいないのではないでしょうか。
我慢強さや集中力を上げるトレーニングをするのはアリです
ただし我慢強さや集中力を上げるトレーニングをするのは効果的かもしれません(必須ではないですが)。ただ、それが直接的に問題行動の軽減につながるとは限らないというだけです。
2:なぜ問題行動をしたのか直接的な原因を考え、取り除く
「我慢強くない」「集中力が低い」などのぼんやりしたものではなく、直接的な原因を考え、それを取り除いてみましょう。例えば「宿題中に大騒ぎする」のであれば、以下のような原因・対応が考えられます。
- 「終わり」が見えない→「今日は30問だね」とゴールを伝え、5問ごとに線を引き細かな達成感を作る
- 体がソワソワしてくる→最終的に終わればいいので、途中で立ったり歩いたりしてもいいことにする
- 環境音が気になる→耳栓やイヤーマフをさせる
他の問題行動についても「直接的な原因は何か」を論理的に考え、取り除くのが大事です。もちろん的外れな場合も多いですが、あれかもしれないこれかもしれないと試行錯誤していくのが重要と言えます。
3:過程がどうでもルールを守れたら褒める
「ルールを守る→褒める」というプラスのフィードバックを繰り返すことで、お子さんは「これが正しい行動なんだ」と学習していきます。この際、過程がどうであってもルールを守れたら褒めるのがポイントです。一例として「廊下を歩く」というルールを守るものとします。
- 走っているところを親が注意して歩けた→褒める
- 考え事をしながらボーっと歩いている→褒める(ボーっとしていて危ないならそれを注意する)
- 「歩こう」という意識はなく、なんとなく歩いている→褒める
- 前の人が歩いているから必然的に歩いている→褒める
親としては「注意した→歩いた→褒めよう」と考えたくなるかもしれませんが、そこはあまり関係なく「とにかく良い行動をしていたら褒める」という意識を持つことが大事です。
「できた」の質を上げていくのが理想
そうしてお子さんができるようになったら、「できた」の質を上げていくのが理想です。
例えば「食事中ずっと座れるようになった」のであれば、徐々に「大口を開けずに口からこぼさないようにする」「肘をつかずに食べる」など、最終的に目指したいゴールに、お子さんを少しずつ近づけていけるとさらに良いですよね。
ただ、もちろんいきなり「できた」の質を大きく上げようとすると、お子さんが混乱してこれまでできていたこともできなくなっていく可能性があるので気を付けてくださいね。まずは、「できているお子さん」を認めることも大事です。
まとめ
問題行動があったとしても、ルールを知って・理解していたかどうかによって取るべき対応は大きく変わります。
やはり一番避けるべきは、お子さんが「ルールを知らなかったのに怒られた!」という状態になることだと思いますので、大事なルールは必ず先に伝えることを心掛けてくださいね。