発達障害で特別支援学級(支援級)を利用するメリット4つ+注意点3つ
株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役
上岡 正明 (かみおか まさあき)
大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。
> 監修者の詳細はこちらこの記事では、発達障害のお子さんが特別支援学級(支援級)を利用することについて解説していきます。
「特別支援学級を検討しているものの詳しいことがわからない」「通常学級とどちらに入れるか迷っている」という方は少なくないと思います。そこで本記事では、特別支援学級の概要や、発達障害のお子さんにとっての特別支援学級のメリットや注意点などに関してお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
発達障害のお子さんをサポートしてくれる特別支援学級(支援級)とは?
「特別支援学級(支援級)」とは、小学校や中学校に設置されている「主に障害を持つ子どもを対象にした少人数の学級」のことです。
特別支援学級にも担任の先生がいて、学校内では「通常学級」と同じようなポジションになりますが、お子さんに合った特別な指導・サポートを受けることができます。
ちなみによく似た名称である「特別支援学校」は、「障害を持つ子供を対象にした学校」ですから別物です。「特別支援学級:普通学校の中に設置される特別な学級」「特別支援学校:学校そのものが障害を持つお子さんを対象にしている」ということです。
先生や他の子どもとの関係によって特別支援学級の雰囲気は大きく変わる
これから特別支援学級のメリットや注意点について解説していきますが、先生や他の子どもとの関係によって特別支援学級の雰囲気や指導内容などは大きく変わります。
そのため特別支援学級に入る前に、お子さんと一緒に見学などをさせてもらうことをおすすめします(入級届を出す期限なども学校によって違うので気を付けてください)。
発達障害のお子さんが特別支援学級(支援級)を利用するメリット4選
それでは発達障害のお子さんが特別支援学級に通うメリットをいくつか挙げていきます。
1:1クラス8人までのため大人数が苦手な子にも向いている
発達障害のお子さんの中には、「他の様々な条件を抜きにしても、とにかく大人数の環境が苦手」という人も少なくありません。ですが特別支援学級は基本的に1クラス8人までのため、落ち着いて学校生活を送れることでしょう。
2:発達障害の特性・お子さんの特徴に合わせた指導をしてくれる
発達障害の特性、そしてお子さんそのものの特徴に合わせた指導・サポートをしてくれます。実際、基本的に一人ひとりに合った個別の指導・サポートプランを立てるため、通常学級よりも細やかなサポートを受けられる傾向にあります。例えば以下の通りです。
- 高学年であっても、お子さんの習熟度に合わせて、基礎的な学習(九九など)から丁寧に遡って指導してもらえる
- 字を書くことが苦手であればiPadやパソコンでの入力(ノート取りの代わり)を認めてもらえる
- 忘れ物や連絡事項などのチェックを通常学級よりも丁寧に行ってもらえる
いずれにしても「これをしてはいけない」ということはあまりないため、お子さんに合わせて柔軟に対応してもらえる可能性が高いです。
3:日常生活の動作に関する指導もしてもらえる
2の「特徴に合わせた指導」とも重なる話ですが、勉強だけでなく日常生活の動作などに関する指導もしてもらえます。発達障害のお子さんは様々な行動に対して「苦手」を感じやすいですが、これによってカバーしていけることでしょう。
4:周りも障害を持つお子さんのため、相互に理解して良い雰囲気を作りやすい
発達障害のお子さんは通常学級では浮いてしまう可能性もあります。もちろん馴染んでうまく生活していく子も多いですが、それでも苦労する場合が多いことは確かです。
一方、特別支援学級の場合、周りも障害を持つお子さんですから「何をされたくないか」などを相互に理解して良い雰囲気を作りやすいです。
また、障害の特性ゆえに「周りを気にしないタイプの子」も多いため、「一人でいるのが好きなのは自分だけではないんだ」と安心できるかもしれません。
発達障害のお子さんが特別支援学級(支援級)を利用する際の注意点3つ
続いては発達障害のお子さんが特別支援学級に入る(それを検討する)場合の注意点をいくつか挙げていきます。
通常学級と比較検討することも大事ですし、進級などのタイミングで特別支援学級から通常学級に戻る子もいます。
1:障害を持たない子と接する機会が減る
特別支援学級で生活することにより、障害を持たない子と接する機会が減ります。そのため、通常学級のお子さんとの交流が少ないと、特有のコミュニケーションのスピード感や暗黙の了解に戸惑いを感じる場面があるかもしれません。
また、一例として小学校・中学校・高校と特別支援学級で過ごしたお子さんが、社会に出て一般就労をした場合に、これまでと環境が大きく変わって不安を感じたり、強い困難が立ちはだかって退職したりする可能性もあります。
2:社会全体で見て発達障害への理解も進んでいるため、通常学級でも問題がない場合も
例えば「通常学級の先生やクラスメイトは、発達障害を持つ子どもを理解しない」などはステレオタイプの一種と言えます。近年は社会全体的に見て、発達障害への理解も進んでいるため通常学級でも問題がない場合もあります。
ただし「行き過ぎた配慮」がお子さんを苦しめる場合も|先生との相談が大事
ただ、先生などの「配慮しなければ」という気持ちが強すぎるせいで、かえってお子さんが苦しむケースもあります。例えば以下の通りです。
- 発達障害のお子さんをサポートする係を決める(本来は不要です)
- 「○○君は発達障害なのだから気を使いなさい」と他の子どもに過剰に言う
- 発達障害のお子さんにできることでもさせない(他の子にさせるなど)
こういったことを防ぐためには通常学級の担任の先生ときちんと相談して、「○○はできる」「○○はできないので配慮してほしい」「○○は傷付くのでやめてほしい」など、具体的に伝えることが大事です。
3:発達障害をあまり理解していない先生が担任になる場合も
また、特別支援学級であっても、発達障害をあまり理解していない先生が担任になる場合もあります。言いにくいことですが、残念ながら、特別支援教育の専門知識が十分でない先生が担任になる可能性もゼロではありません。
そしてどのような先生であっても基本的に変更されることはないため、担任の先生に不安を感じる場合は以下のことを心がけましょう(先生に問題がない場合でも大事なことです)。
- 担任の先生と相談する機会を多く作る
- 相談しても大きな問題が残る場合は、校長先生などに相談する
- お子さんには「先生に関する不安」を一切伝えない
親の立場で内心どれだけ心配していても、お子さんに対して「あの先生は不安……」という態度は一切見せないようにしましょう。そうでないとお子さんまで不安になるだけです。
まとめ
発達障害のお子さんが利用できる特別支援学級(支援級)について解説しました。これまでの生活で苦労が多かった方ほど特別支援学級が魅力的に見えると思います。
ただ、特別支援学級にも注意点は少なくありませんし、通常学級にもメリットはありますから、慎重に検討することをおすすめします。