発達障害のお子さんの好き嫌いを軽減する5つの方法
この記事では、発達障害のお子さんに見られる極端な好き嫌い(偏食)を和らげるための具体的な工夫や、接し方のコツについて解説します。
「好き嫌いが多くて困っている」「食べさせるための工夫はないだろうか」と悩んでいる方は少なくないと思います。
そこで本記事では、発達障害の子の好き嫌いを軽減するために知るべき背景や具体的なアプローチ、好き嫌いを直すにあたっての親のNGワードなどに関して解説していきますね。
発達障害の子の好き嫌いを和らげるために知っておくべき3つのこと
発達障害のお子さんの好き嫌いを和らげる方法を紹介する前に、「発達障害だからこそ難しくなる部分」をいくつか紹介していきます。もちろん発達障害だからといって必ず当てはまるわけではないものの意識していただければと思います。
1:味覚過敏の影響で好き嫌いが激しい子もいる
発達障害のお子さんの中には味覚過敏(味覚が平均より鋭い)の子が少なくなく、例えば「学校の水道の水」と「家の水道の水」を区別できる子さえいます。そういった子の場合、「苦手な食べ物の苦手な要素」をより強く感じてしまう可能性があります。
つまり一例として大人が「ほんの少し苦いだけだから」となだめても、お子さんにとっては「耐えがたいほど強い苦み」として感じられている可能性があるのです。
味覚が鋭いことは長所にもなる
味覚の鋭さを活かして料理の道などで活躍する人もいますし、そうでなくても料理がうまくなる人は少なくありません。確かに味覚過敏で苦労することもあるかもしれませんが、強みにもなり得るということを忘れないであげてくださいね。
2:思い込みの激しさが好き嫌いを助長する場合も
発達障害の子の中には物事に対する視野が狭く、思い込みが激しい子も少なくありません。
そういった子の場合、例えば「○○は不味いに違いない(食わず嫌い)」と思い込むと、どう説得しようとしてもなかなか食べない可能性があります。
他にも、一例として「トマトに虫が入っていてトラウマになった」という場合、「それは運が悪かっただけで普通は虫は入っていないよ」と言っても、聞き入れない(理解を拒絶する)かもしれません。
3:本当に食べられないものを無理に食べさせるのはおすすめしません
アレルギー反応が出てしまう食べ物はもちろんですが、「飲み込もうとすると強い吐き気がする(吐くような動作をする)」「においがするだけでもパニックになる」「見るだけも気が動転する」などの場合は、無理に食べさせるべきではありません。
そこまでの反応を示すのはもはや「適切に対処するべき困難」と言えるからです。幸いなことに「この食べ物でしか摂取できない栄養素」というものはほぼ存在しませんから、好き嫌いがあること自体は大きな問題にはなりません。
発達障害の子の好き嫌いを和らげるための5つの方法
それでは発達障害のお子さんの好き嫌いを和らげるための方法・ポイントをいくつか紹介していきます。「食べるという行為そのもの」からは離れた視点からアプローチすることによっても効果が出るかもしれません。
1:食事そのものをできるだけ楽しい時間にする
「食事=楽しいこと」になれば好き嫌いが和らぎやすくなります。極端な例ですが、嫌いな食べ物を出されて「食べなさい!」と強要されるのは苦痛ですが、楽しい雰囲気の中で「ちょっと食べてみれば?」と言われれば一口くらいは口に運ぼうと思えるかもしれませんよね。食事を楽しい雰囲気にするための主な方法は以下の通りです。
- できるだけ家族で集まって食事をする
- みんなで話せる話題でコミュニケーションを取る
- お子さんの好きな音楽を流す
- お子さんの好きなデザインの食器を使う
「みんなで話せない話題」としては、例えば親の仕事や家事の話などがあるので控えましょう。逆にお子さんの学校での話題であればついていけるはずです。また、お子さんの趣味の話なども理解はできなくても合わせられるのではないでしょうか。
2:切り方や調理方法、食材のグレードなどを変えてみる
例えばピーマンならヨコ切りよりもタテ切りの方が苦みは弱くなります。油で揚げたり炒めたりすれば旨味を閉じ込めつつ、苦手になりやすい苦みや香りは抑えることができます。
こうして切り方や調理方法を変えることで「大丈夫、食べられる!」という感覚が得られると、他の調理方法、ピーマンであれば軽く火を通す程度でも食べられるようになるかもしれません(もちろん無理は禁物ですが)。
また、例えばトマトならある程度高価なものは甘みが強い傾向にあるため食べられる可能性があります。そしてトマト自体に慣れれば、ピーマンの切り方や調理方法と似た理屈で食べられるようになるかもしれません。
3:なぜ苦手なのかを聞いて共感を示す
先ほど「特に発達障害のお子さんは話を聞き入れない可能性がある」とお伝えしましたが、それでもなぜ苦手なのかを聞いてみることは大事です。
例えば「どうしてピーマンが嫌いなの?」→「苦くてなんかイヤなニオイもするし」→「そっか苦いしニオイも独特だよね」など共感を示すだけでも、好き嫌いに関して親の言うことを聞き入れやすくなるかもしれません。
そうなれば「苦みやニオイがあまり目立たないように工夫したから食べてみない?」などの提案も受け入れてくれる可能性があります。
4:お子さんが少し成長してから改めて嫌いな食べ物を出してみる
ある程度工夫しても食べられない食べ物もあるかもしれません。そういった場合は、お子さんが少し成長してからその食べ物を改めて出してみると、あっさり食べられるようになっている可能性があります。
成長するにつれて味覚が変化するかもしれませんし、精神的な成長によって「あまり拒絶しないで少しくらいは食べないと……」という気持ちを持つ場合もあるからです。
発達障害のお子さんの好き嫌いを直すにあたってのNGワード
続いては発達障害の子の好き嫌いを直すにあたって言ってはいけない言葉をいくつか紹介します。「さすがに言わない」と誰でもわかるような言葉もあれば、つい使ってしまいそうな言葉もあるのでお気を付けくださいね。
1:「美味しいのに」
特に発達障害の子の場合、言葉をそのまま受け取る可能性があり、「嫌いだと言っているのにわかってくれない!」とイライラしたり、親に対して不信感を持ったりしてしまうかもしれません。
また、「(今のところ)美味しくない」のはその子にとって事実なので、否定するべきではありません。たとえ親が「お子さんの嫌いな食べ物」を本当に大好きだったとしてもです(親子で味覚は違うのであり得ることです)。
大事なのは「嫌い・苦手なのはすごくわかった」「でも食べてみない?」という優しいスタンスで接することですね。
2:「気にしない方がいいよ」
「美味しくない」「嫌い」などは舌などの器官で感じ取るものであり、「気にしない方がいいよ」と言われても、そのようにできるものではありません。「気にしないことができないこと」に関して、「気にしない方がいいよ」と言われても、むしろ突き離されているような気分にしかなりません。
3:「あまり噛まないようにすれば大丈夫じゃない?」
本当にあまり噛まずに飲み込んでしまうのは危険ですし、それができたとしても苦しいことに代わりはないためお子さんにとって食事自体が嫌なものになってしまう恐れがあります。
また、特にお子さんが小さいうちは消化器官も未発達で、あまり噛まないことによりお腹を壊す恐れもあります。そうすると「食事をするとお腹を壊すかもしれない」という恐怖を抱くようになってもおかしくありません。
4:「○○(他の誰か)は食べられるのに」
例えば「お兄ちゃんは食べられるのに」「お父さんは平気なのに」などもNGです。これを言ったところで子どもの味覚は当然変わりませんし、お子さんの自尊心を傷付けるだけなので意味がありません。
ただし「ちょっと前までのあなたは食べられたから大丈夫かもよ」と、「過去のその子自身」と比べるのは悪い選択肢ではありません(ただしあくまで優しく言いましょう)。
5:(あまりにも食べない場合でも)「食べないと怒るよ」
あまりにかたくなに食べないようだと「そろそろ食べないと怒るよ」などと言いたくなるかもしれませんが、それでは食事自体が嫌になってしまう可能性がありますから厳禁です。日々の食事の用意なども大変ですので怒りたくなる気持ちはわかりますが抑えましょう。
注意すること自体がNGというわけではありません
ただし注意することそのものが厳禁というわけではありません。例えば、好き嫌いとは関係なく、手遊びに夢中になって食事に集中できていないような場面では、様子を見ながら注意した方がいいかもしれません。
注意の言葉としては、「今は食べる時間だよ」など食べる行為そのものの促しや、普段食べているものを雑に拒絶している場合の「いつもは食べられているから今日も食べられると思うよ」などのセリフがいいでしょう。
まとめ
発達障害のお子さんは好き嫌いが多かったり、直すことが難しかったりする場合が多いですが、今回紹介したような工夫をすれば意外とスムーズに状況が良くなるかもしれません。
どうしても食べられないものを無理に食べさせるべきではありませんが、そうでなければできるだけ食べられるようにアプローチしてみてはいかがでしょうか。やはり「食べられるものが多いこと」は本人の人生をより豊かなものにすると思います。