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特殊教育と特別支援教育のスタンスの違い3選|発達障害の基礎知識

特殊教育と特別支援教育のスタンスの違い3選|発達障害の基礎知識
この記事の監修
上岡 正明

株式会社フロンティアコンサルティング 代表取締役

上岡 正明 (かみおか まさあき)

大学院にてMBA(情報工学博士前期課程)取得。専門分野は社会心理、小児心理。多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学で客員講師等を歴任。子どもの脳の発育と行動心理に基づく研究セミナーは常に人気を博している。著者に『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)、『脳科学者が教える コスパ最強! 勉強法』(ぶんか社)、などベストセラー多数。中国や台湾、韓国でも翻訳され累計85万部となっている。 Twitterフォロアー5万人、YouTubeチャンネル登録者23万人を超える教育系ユーチューバーでもある。

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この記事では、従来の「特殊教育」と、現在の「特別支援教育」のスタンスの違いなどについて解説していきます。「特殊教育という言葉も、特別支援教育という言葉もよく聞くけれどよくわからない」という方は多いと思います。そこで本記事では、「特殊教育」から「特別支援教育」へと変わっていった流れ、特殊教育と特別支援教育の制度的な違い・スタンス的な違い、そして親として持つべきスタンスなどに関してお伝えしていきます。

「特殊教育」から「特別支援教育」への変化の流れ|発達障害の基礎知識

それでは従来の「特殊教育」から「特別支援教育」へと変化した流れを見ていきましょう。

1947年:学校教育法が制定される

1947年に学校教育法が制定されました。そして「特殊教育」が始まりました。特殊教育とは以下のものの総称です。

  • 盲学校:目が不自由なお子さん向け
  • 聾(ろう)学校:耳が不自由なお子さん向け
  • 知的障害養護学校:知的発達の遅れがあるお子さん向け
  • 肢体不自由養護学校:身体に不自由のあるお子さん向け
  • 病弱養護学校:病弱であるお子さん向け

また、地域の通常学校の中には「特殊学級」を設けているところもありました。特殊学級は基本的に軽度な障害を持つお子さん向けのものでした。

1948年:盲学校・聾学校の就学が義務化

1947年の段階ではあくまで「制度としてスタートしただけ」でしたが、1948年には盲学校・聾学校について就学が義務化されました。

1979年:養護学校の就学が義務化される

1979年に養護学校への就学が義務化されました。これによって日本は制度上、基本的に「どのような障害を持っていても、それがどのような程度であっても教育を受けられる国」になりました。

1993年:「通級指導」が制度化される

1993年には通級指導が制度化されました。主な対象となったお子さんは「通常学級で授業を受けつつ、心身の障害に応じた特別な指導を、特別な場所を受けることを希望した人」でした。

1993年時点で、通級指導の対象となった具体的な障害としては主に以下のものがありました。

  • ほぼ全ての言語障害
  • 弱視や難聴の大半
  • 情緒障害の一部
  • 肢体不自由
  • 病弱、虚弱の一部

そして2006年にLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症も加わりました。

2005年:発達障害支援法が制定される/2007年:特別支援教育の開始

2005年に発達障害支援法が制定されました。そして先述の通り2006年には、通級指導の対象にLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症も加わりました。

そして2007年に特別支援教育が開始され、その後たびたび多少形を変えながら現在まで制度が続いています。

特殊教育から特別支援教育への変化で具体的に変わったこと2選|発達障害の基礎知識

それでは「特殊教育」から「特別支援教育」へと変化したことで、具体的に変わったことをいくつか挙げていきます。

1:盲学校・聾学校・養護学校が「特別支援学校」へと一本化された

特殊教育時代は、障害の種類によって「盲学校」「聾学校」「養護学校」などに分かれていましたが、特別支援教育が始まってから「特別支援学校」へと一本化されました。

2:「特殊学級」→「特別支援学級」へと変化

地域の通常学級内に設置されていた「特殊学級」は「特別支援学級」へと名前が変わりました。

ただ、特殊学級時代と同じく、特別支援学級の設置も義務ではありません。設置するかどうかは自治体の判断に任されており、1学級も設置していない自治体も存在します。

「特殊教育」と「特別支援教育」における教育・サポートのスタンスの違い3選

ここまでは制度的な違いに注目してきましたが、ここからは「特殊教育から特別支援教育に変わったことで、発達障害者などへのサポートのスタンスが、国としてどう変わったか」について解説していきます。

なお制度として明文化されていないことにも触れていきますので、あくまで見解の一つであるということをご理解くださいね。

1:「教育の対象者」の幅が広くなった

特殊教育の対象者は基本的に「障害の診断を具体的に受けているお子さん」でした。しかし、特別支援教育の対象者は「障害を持つ子どもをサポートしようと考えたとき、対象となるお子さん」です。

そのため「実際に何らかの障害と診断されているかどうか」は本質的にはそれほど重要なことではなくなりました。「障害を持っているような困難を抱えている子」をサポートするからです。

もちろん現実的には、基本的に「発達障害である」などの診断を受けている人が、特別支援教育を受けます。しかし、「診断と関係なく、生活にあたって難しさを抱えている要素についてサポートする」というのが特別支援教育の本質と言えるでしょう。

2:「教育機会の確保」から「自立や社会参加ための支援」に目的が変わった

特殊教育が定義された当時、障害のあるお子さんは就学の猶予・免除を受けていました。その状況を打開するために、「障害があっても教育を受ける機会を確保する」という狙いで、特殊教育が開始したのです。

ですが時代が進んで特別支援教育が始まると、単に教育機会を確保するだけでなく、「自立や社会参加のための支援」へと主な目的が変わりました。

簡単に言うと「少なくとも勉強はできるようにする」という支援から、さらに幅広く、将来を見据えた支援をするようになったということです。

3:「一人ひとりに合った支援をする」というスタンスになった

繰り返しになりますが特殊教育時代は、「障害と診断された子」に「学習機会・場所を用意する」というのが基本スタンスであり、あまり「一人ひとりの個性に注目する」という体制ではなかったとされています。

ですが「自立や社会参加の支援」が主目的である特別支援教育時代になってからは、「一人ひとりの個性や特徴を見つめて個々人に合うサポートをする」というのが基本スタンスとなりました。

とても簡単に言うと「一人ひとりにより目を向けるようになった」ということです。なお、これは特別支援教育や発達障害関連のフィールドに限らず、「もっと個性を大事にしていこう」という社会全体の流れの一環とも言えるのではないでしょうか。

保護者は「自分の子どもの特徴を見ること」が大事です|発達障害ケア

そして親の立場では、「発達障害の定義」「発達障害の分類」などにこだわりすぎず、自分のお子さんの特徴を見て、適切なサポートをすることが大事です。

つまり「発達障害だからどうするか」ではなく、「この子だからどうするか」という視点を持つことが重要ということですね。そのため実は「発達障害かどうか」さえ本質的には重要でないと言えます。

ただ、もちろん例えば「骨折したらギプスを使うべき」などと同じで、「発達障害の場合は○○をすると良い傾向にある」などの指針はある程度参考になります。そのため軽視もしすぎないことが大切です。

まとめ

「特殊教育」から「特別支援教育」に変わったことにより、従来の「障害を持つ子に特別な場所を与える」というスタンスから、「自立や社会参加のために一人ひとりの個性に合った支援をする」というスタンスに変わっていったと言えるでしょう。

そして「一つの家庭」においても、「発達障害だから」「○○だから」という枠組みにこだわりすぎず、お子さんの特徴を見つめて、より良いサポートをしていくことが重要と言えるはずです。

この記事を書いた人
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運営事務局 / ライター

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